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視覚芸術
Bridget Riley(1931-)の回顧展を見に行きにパリ市立美術館へ。今回は以前ポンピドゥーで見たことのあったPeter Doigも同時に展示されていた。ブリジット・ライリーといえば、オプアートの第一人者だけど、本物をこんなにたくさん見たことはなかった。入るとまず、初期のスーラの点描画を模した絵が目に入る。彼女の興味が分析的な色彩に向けられていたことが分かって面白い。それから白黒のフラッグのような絵になり、細かさ、精密さも増していく。絵の前に立つと、本当に目が回るような錯覚に陥る。何でだろうと、じっくり見ようとすると見えなくなり、そのうちに気分が悪くなる絵というのはなかなかない。しかも回顧展だから、彼女の絵だけが部屋全体を埋め尽くしている。白い部屋に浮かぶ、ゆらゆら佇む線の渦。縦に伸びた色彩の集合体。下絵やエスキースからは、緻密な色の組み合わせ、コンポジションが数学者のように計算されているのが分かる。最近の作品は、ゆるやかな放物線の大ぶりな模様。単純な構図に見えるけど、コンピューターを駆使したような複雑さが後ろに感じられる。もしかしたら数年後には、複雑さを極めすぎて、悟りを開いたような一色の絵にたどり着くのかもしれない。
by shinichitakeda | 2008-06-24 05:37
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